古来の石垣は、積まれてから長年月の間に少しずつ動いています。それは地盤の動きや水の流れなどに適応しているためで、変形しながら保っているのです。
しかし、地震や大雨などのために変形が大きくなると修理が必要です。
箱根関所の京口御門から湖側に延びる石垣でも、江戸時代に何度か修理されたようです。上2段が手前に迫り出して、上面が少し下がっています。また下の根石も大分動いています。この部分は、右側に目地が縦に通っているので、江戸時代に積み直されたところのようです。
しかし、このままではやがて崩れてしまうおそれがありましたので修復しました。
石垣の修理は、なるべく元の石材(積み石)を同じ場所に据えなおすことが基本です。そのために、解体前の積み石に番号を付け、位置関係を記録したあと、迫り出した部分だけを慎重に解体します。
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