栩葺板製作の工程が完了すると、最後にこの栩葺板を梱包して出荷します。この梱包作業も実は大変重要な工程です。板を束にするときは専用の枠に合わせて梱包が行われ、五間束とよばれる数量でまとめられます。五間束は、板を横一列に並べると5間(約9メートル)になるよう揃えられた束です。
こうすることで、一坪の屋根を葺くのに五間束が5束分必要といった具合に計算できますから、束の数量で屋根面積に対する栩葺板の必要量が把握できたり、現場で屋根を葺くときの日々の工程管理に利用することができます。束にする梱包作業は単に運搬のためだけではなく、屋根を葺くときのことも考えた合理的な仕組みとなっているのです。
栩葺板の紹介はこのコーナーでも長らく続けてきましたが、このような一連の作業の多くが手作業による、大変手間の掛ったものであることはご理解いただけたかと思います。
足軽番所の復元では、屋根の面積がおよそ50坪(約165m2)ですから、使用される手作りの栩葺板はざっと2万枚(!)に上ります。
職人の技術がぎっしりと詰まった栩葺屋根を、ぜひ箱根関所でご覧になってください。
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