板を割ることを「板へぎ」または「こへぎ」と呼びます。割るといっても長さを半分にするわけではなく厚さを半分に割っていきますから、「はぐ」といった感じです。たとえば、少し厚いベニヤ板をはぐようなイメージです。
板へぎは、板の厚みの部分(木口=こぐち)にナタを立て、木槌(きづち)である程度打ち込みます。
ある程度ナタが打ち込まれたら、楔(くさび)をナタに当ててさらに木槌で打ち込みます。
しっかりと板に打ち込まれたナタを使って巧みに手首を返し、板を割ります。
へぎ台といって、凹凸が設けられた専用の台に板を挟んでの作業となります。
ペリ、パカッ、と小気味良い音を立てつつ綺麗な二等分に割る作業は、まるで割り箸でも割るかのような簡単な作業に見えてしまいます。もちろん、この単純で手早い作業にも長年の経験によって培われた、さりげない技術が隠されています。
板へぎは、「割る」という簡単で単純な作業です。しかし、ナタや木槌を打ち込む際の力加減やタイミング、握ったナタの独特の手の返し方など、実に多くの動作について長年の経験が求められる作業であり、単に材料の素性の良さに頼った作業ではないことが良くわかりました。
こうして板へぎを終えたものは、銑掛け(せんがけ)されます。銑とは両側に取手がついた特殊な刃物の一種で、これで板の表面のささくれ立った部分をある程度きれいに整えます。
|