荒割りはナタと木槌、楔(クサビ)で行われます。
ナタで割れ目を設け、楔を打ち込んで割ります。これまでの工程は比較的手早く行われていましたが、荒割の段階では注意深く割る位置を見当しながらの作業でした。
これは、荒割がすでに栩葺板の製作工程で重要な段階に入っていることを意味しています。玉切りした木材の中心付近にみられるわずかな空洞や節が栩葺板の最終的なでき栄えを大きく左右するからで、この作業一つで良い板が多く取れるかどうかが決まるからです。
それにしても荒割の作業は圧巻です。
一抱えもあるような大木が、あたかもミカンやスイカを割るようにバカッ、バカッときれいに割れるのですから、原木の程度の良さとそれを生かし切るさりげない職人技術の奥深さを感じずにはいられません。
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