箱根関所完全復元への道のり / 箱根関跡保存整備事業 / 伝統技術も復元する
栩葺(とちぶき)模型によるご紹介
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 箱根関所の復元建物の大きな特徴の一つに栩葺(とちぶき)があります。
 板葺き屋根には、こけら葺とか木賊葺(とくさぶき)とかありますが、これらは屋根板の厚さによって分類されたもので、一般的なものだと、こけら葺は屋根板の厚さが1分程度のもの(1分は3ミリ)、屋根板の厚さが1分〜3分までのものを木賊葺、3分以上のものを栩葺と呼びます。(厳密には、時代や地方によって多少の幅があるようです。)
 屋根板の材料には杉やサワラが使用されます。栩葺ですからトチの木の板が使用されているのでは、と考えられることもありますが、実際にはそれは当てはまりません。箱根関所の復元建物では、史料により杉の赤身が使用されていたことが分かっています。
 栩葺で目を引くのが屋根板が少しずつ重ねられて織りなす美しい段々の形状です。横の並びがきちんと揃えられおり、真っ直ぐに並んだ板がいくつも重なって見えるさまは壮観です。
 外から見ると、横に長くズラッと揃っていますから、あたかも横長の板が使われているように思われますが、実際には、1枚の大きさは幅が4〜5寸(12cm〜15cm)、長さが1尺4寸(42cm)のものが使用されています。この板を2寸4分(7.3cm)ずつずらしながら腐食に強い竹釘で打ち付けていくわけです。ですから、表面に屋根板が見えている以上に、奥が詰まった屋根であることが分かるかと思います。一坪(1.8m×1.8m)で使用される屋根板は370枚ほどにものぼります。
 また、屋根の断面を見ますと、少し隙間が開いているのが分かります。
 これは、屋根板に割り板を使用しているためです。一枚一枚、職人が丸太から手で割ったものですから、大変手間は掛かるのですが、木材の繊維に沿って割るためたいへん強い材料となります。
 また、適度な隙間によって凍害や腐食に対して強い屋根となり、強風・高湿・多雪の箱根の厳しい自然環境に適応した屋根となっています。
 この屋根板の製作は大変特殊な工程で、現在目にすることはほとんどなくなりました。